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今月の主題 遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)
序説
遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)
Introduction
飯田 三雄
1
Mitsuo Iida
1
1川崎医科大学内科(消化器Ⅱ)
キーワード:
遺伝性非ポリポーシス大腸癌
,
HNPCC
Keyword:
遺伝性非ポリポーシス大腸癌
,
HNPCC
pp.821-822
発行日 1996年6月25日
Published Date 1996/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104164
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- Abstract 文献概要
遺伝性を示す大腸癌は,消化管ポリポーシスを伴うポリポーシス症候群と,消化管ポリポーシスを伴わない遺伝性非ポリポーシス大腸癌(hereditary nonpolyposis colorectal cancer; HNPCC)に大別される.前者の中には,家族性大腸腺腫症,Gardner症候群,Turcot症候群,Peutz-Jeghers症候群,若年性ポリポーシス,Cowden病など消化器専門医なら誰もが知っている疾患が含まれ,その臨床像については本誌でも過去3回(9巻9号,19巻6号,28巻12号)主題として取り上げられている.これに対し,後者に対する認識と関心の高まりはつい最近のことであり,HNPCCが本誌の特集として組まれるのも今回が初めてである.
HNPCCは,歴史的には1913年のWarthini1)の4家系の報告に始まる.その後この家系を受け継いだLynchら2)は,大腸癌の若年発症,大腸癌の近位側好発,子宮体癌を含む大腸以外の癌の多発,常染色体優性遺伝などの特徴がみられることを報告し,これらの症例をcancer family syndromeと呼ぶことを提唱した.その後,同様の特徴を有しながら大腸癌のみが集積するLynch syndrome Ⅰと,大腸癌以外に子宮体癌などを合併するLynch syndrome Ⅱ(cancer family syndrome)に亜分類されるようになった3).
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