特集 図説 形態用語の使い方・使われ方
第Ⅱ部 検査手技・所見等の用語
b.X線・内視鏡所見用語
ニッシェ(niche,Nische)
中原 慶太
1
,
馬場 保昌
2
1癌研究会附属病院内科
2癌研究会附属病院内科,検診センター
pp.376
発行日 1996年2月26日
Published Date 1996/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104048
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ニッシェは英語でniche,ドイッ語でNischeの言葉で表現され,日本語では壁龕(へきがん)と訳されている.壁龕とは彫像,花瓶などを置く壁の引っ込みの場所のことを言う.X線上造影剤が潰瘍の陥凹部に溜まって胃壁から突出した陰影として描出される像が,これに似ていることから命名された。現在,わが国では一般にニッシェが用いられている.
ニッシェという言葉は,1910年Haudekにより,潰瘍のX線所見として命名された.1906年にHemmeterは動物実験で胃潰瘍をX線的に描出できる可能性を記載し,1909年にReicheはX線の突出像が剖検所見と対比して,より大きいことを指摘した.当初,Reiche,Haudekらはニッシェを穿通性潰瘍の特徴所見として用いていたが,その後,ニッシェの形態や性状について多くの報告がなされ,一般に潰瘍のX線形態所見として広く普及した.
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