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書評「消化器癌の診断と内科治療―1.食道・胃・大腸」
望月 福治
1,2
1JR仙台病院消化器内視鏡センター
2仙台市医療センター
pp.912
発行日 1998年5月25日
Published Date 1998/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103733
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本書は対象を消化器癌に絞り込み,食道,胃,小腸および大腸の診断と内科的治療について系統的な記述がなされている.癌の診断に重点が置かれていることはもちろんであるが,特に治療の項では内視鏡的治療と癌の化学療法が一括して記述されており,このような企画はおそらく本書が初めてではなかろうか.
内容は大きく6章に分けられている.すなわち,診断篇では食道癌,胃癌,小腸癌,大腸癌,消化管悪性リンパ腫,それに前述した消化管癌の内科的治療から構成されている.更に,それぞれの章は早期癌,進行癌,深達度,浸潤範囲,生検,病理などの項目別に診断法が詳述されている.随所に症例が提示され,内視鏡,X線,超音波像,切除標本などによって具体的に診断のポイントが的確,かつ平易に解説されている.例えばⅡc型早期胃癌の内視鏡診断は“病変部の周辺,病変部境界,陥凹内面に分けてみるとわかりやすい”と述べられ理解しやすいし,同様に,内視鏡による深達度診断は“病変の形態,組織型,大きさなどから深達度を類推する方法と,粘膜下層以深への浸潤した変化をもとに深達度を推定する方法”があるなど,要点を押さえながら病変の特徴と目のつけどころが簡潔でわかりやすく記述されている.
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