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編集後記
小野 裕之
pp.984
発行日 2001年6月25日
Published Date 2001/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103266
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本号を御一読いただければ,主題と症例の配置が従来号と異なることにすぐ気づかれると思う.序説で八尾らが小腸腫瘍全般におけるreviewを行い,上皮性腫瘍,内分泌腫瘍,非上皮性腫瘍,リンパ腫,腫瘍様病変の各項について,疾患概念,分類,頻度等が主題で記載され,各々の主題の後に症例が呈示されている.小腸腫瘍は比較的まれな疾患であるため,画像診断・臨床病理学的特徴が系統的に論じられることが少なかった.今回の企画のねらいは,上記の体裁をとることで単なる症例特集号となることを避け,専門医の教科書たらんとするものである.八尾らが述べているように,疾患の頻度にこの20年大きな変化はなく,診断modalityにも進歩が少なかったため,幸か不幸か“教科書”としての完成度は高いと考えている.逆に言えば相変わらず閉塞や出血などの症状が出現して初めて診断される状況も同様なわけで,やや寂しい.元々の疾患頻度が少ない以上,従来の小腸造影や小腸内視鏡を積極的に施行すべきであるとは言えまい,しかし,衝撃的であったカプセル内視鏡の出現もあり,未来の展望として新たな診断modalityが小腸検診に導入される可能性が出てきている.小腸疾患においても早期診断が当たり前の時代が来る,という予感の萌芽がある点が20年前と違うとあえて言いたい.
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