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書評「―コロナビを用いた―新 大腸内視鏡テクニック」
長廻 紘
1
1群馬県立がんセンター
pp.12
発行日 2001年1月25日
Published Date 2001/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103122
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大腸内視鏡は1960年代末に開発されたが,当初はもちろん,今に至るまで使いこなすのが難しい内視鏡であり続けている.生産者・使用者とも,何とか使いやすいものにしようと,努力が重ねられた.使用者側においては既にあるこのスコープをうまく使うという挿入技術の向上と,スコープの欠点を明らかにしてメーカーに改良を求めるという2つの方向があった.そういうコロノスコープ・コロノスコピーの世界で,最初からたくさんのアイデアを出し,メーカーを叱咤激励し続けてきたのが本書の著者,多田正大博士である.スコープの硬さ,太さの検討にことのほか意を用い,数々の論文とともに,実際に硬度可変式スコープ,細径スコープなどにその検討結果は生かされた.高い診断能を有する一流の内視鏡医であり続けるとともに,誰よりも機種の改良に意を注ぐ姿を,常に感嘆しつつ眺めてきた.
多田博士のもう1つのまねのできないことは,後進の指導に大変熱心だということである.それらの諸々の歴史が本書に流れ込んで,類をみない成書となった.100頁に満たない本であるが,“本は厚きをもって尊しとせず,内容の豊さをもって…”をまさに地でいく本である.DDW-Japan2000でも即日完売したのもうなずける.
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