臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集
VII.血清検査
64.ビダール反応
深谷 一太
1
1東大医科研内科
pp.1782-1783
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216168
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はじめに
ビダール反応はもっぱら腸チフス,パラチフスA,パラチフスBの3つのチフス性疾患の血清学的診断法として古い歴史を有する.かつては菌陰性例における診断のよりどころとして偉力を発揮したが,クロラムフェニコール(CP)療法導入と相前後して,凝集素価の上昇が菌陽性例でもそれ以前のように良好でないことがひろく報告されるようになった.また,チフス性疾患の国内発生が急速に減少するにつれて検査項目として選択されることも少なくなり,その診断法としての重要性は著しく低下した感がある1〜3).
しかし,最近,東南アジア地方からの帰国者で不明の発熱の続くことを主訴として来診する例が増加し,血液塗抹標本でマラリア原虫を認めないときは,必ず血液培養とともにビダール反応を検査することを忘れないように心がけたい.
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