Japanese
English
今月の主題 早期胃癌のEUS診断
序説
早期胃癌のEUS診断
Introduction
神津 照雄
1
Teruo Kouzu
1
1千葉大学医学部光学医療診療部
キーワード:
EUS
,
胃癌
,
細径超音波プローブ
Keyword:
EUS
,
胃癌
,
細径超音波プローブ
pp.1085-1086
発行日 1999年8月25日
Published Date 1999/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102795
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
胃癌の診断学においてわが国では二重造影法と内視鏡形態診断が並行・切磋琢磨しながら発展進歩してきた.粘膜表面の凹凸をとらえ,かつ表面の色調から癌の深達度診断を行ってきたのである.そして1980年代始めごろより新たに消化管粘膜表面の断層像から深達度診断を行おうとする超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography; EUS)が参入してきた.今日ではそれぞれの利点を強調しながら,あらゆる消化器疾患診療の臨床の現場に取り入れられてきている.更に最近では細径超音波プローブの普及により,改めて構えることのない体腔内超音波検査に発展している.しかし本当に超音波内視鏡は胃癌深達度診断に貢献しているのか,また初心者はどのような読影をすべきなのかということが本号の企画に発展したと言えよう.あまりにも多くの分類に戸惑いを感じてきているからである.食道癌や大腸癌と比較して,胃癌の診断では潰瘍の線維化に伴う変化を読みとることが必要である.早期胃癌では潰瘍線維化を伴うことが多いのにもかかわらず,癌と線維化のエコーレベルの差が表現できない.したがって5層構造の基本のもとに潰瘍性変化を加えたパターン分類が必要となる.その分類が若い人を指導する立場の専門家で表現が異なるからいっそう難解となる.しかし,種々ある誰々の分類も,組み糸をほどけば5層構造と潰瘍線維化の組み合わせにすぎない.X線・内視鏡による早期胃癌の形態分類を作成したころの激しい討論を振り返り,各人のpriorityを尊重しながら歩み寄り,そろそろ超音波内視鏡画像パターン分類の統一を期待したいものである.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.