Coffee Break
おもいこみ(2)─Kammrötungは櫛状発赤か
岡﨑 幸紀
1
1防府消化器病センター
pp.1381
発行日 2011年8月25日
Published Date 2011/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102335
- 有料閲覧
- 文献概要
1982年4月のある日,1通の封書が師の竹本忠良山口大学第一内科教授(当時)のもとに届いた.虎の門病院放射線部で活躍しておられた中島哲二先生からであった.内容は,「最近の論文に,Kammrötungを櫛状発赤と訳した論文が多い.これは誤訳であるから,今のうちに何とかしていただきたい」とあり,その理由の記載とGutzeit KおよびHenning Nの著書の該当部分がコピーされ同封されていた.当時,教授が非常に多忙であったため,返事のための資料収集などを仰せつかり,お手紙やコピーをお預かりした.
中島先生のお手紙では,Gutzeit K,Henning N,Bruel Wの著書からは,胃炎の項でKammとTalが頻繁に出ており,KammはFaltenkammの略であり,Faltentalに対している.したがって,Kammは,櫛ではなく谷間のTalに対する峰・頂・山の背・稜線の訳をとるべきである,と記されていた.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.