Japanese
English
今月の主題 特発性腸間膜静脈硬化症(idiopathic mesenteric phlebosclerosis)―概念と臨床的取り扱い
序説
特発性腸間膜静脈硬化症(idiopathic mesenteric phlebosclerosis)
Introduction
岩下 明徳
1
Akinori Iwashita
1
1福岡大学筑紫病院病理部
キーワード:
静脈硬化症
,
虚血性腸病変
,
臨床病理
,
歴史
,
名称
Keyword:
静脈硬化症
,
虚血性腸病変
,
臨床病理
,
歴史
,
名称
pp.135-136
発行日 2009年2月25日
Published Date 2009/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403101573
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特発性腸間膜静脈硬化症(idiopathic mesenteric phlebosclerosis;IMP)は,最近わが国で初めて報告され,その疾患概念が確立された比較的まれな原因不明の腸疾患である.本疾患は腸間膜静脈硬化症に起因した還流障害による慢性虚血性大腸病変とされる1)2).
われわれが経験した本疾患17症例と文献的に収集しえた本疾患50症例,計67症例の患者の年齢は28~86歳,平均61歳で,男女比は30:37である.発症は緩徐で,主症状は腹痛,下痢,便秘,腹部膨満などで,下血・血便は少ない.罹患部位は,回腸末端部から直腸に及ぶが,病変の程度は右半結腸,特に盲腸・上行結腸に強い.十分に完成された本疾患の臨床画像的特徴としては,腹部単純X線検査では右側腹部に線状石灰化像を認め,腹部CTでは大腸壁の肥厚,および腸管壁ないし腸間膜に一致した石灰化像がみられる3).注腸X線検査では壁硬化や不整,管腔狭小,拇指圧痕像や粘膜の浮腫状変化などの所見を呈し,大腸内視鏡検査では粘膜に暗青~赤色,あるいは褐色などの色調変化がみられ,浮腫や狭窄,びらん・潰瘍,血管透見像の消失などを伴う.
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