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胃癌はLauren1)のintestinal type とdiffuse type,あるいはNakamuraら2)のdifferentiated type(分化型)とundifferentiated type(未分化型)に大別される.その違いは形態学的に腺腔構造を形成するか否かによるが,両者は肉眼所見,進展形式,転移形式など,様々な点で異なった特徴を呈する.胃未分化型腺癌はさらに,印環細胞癌(sig)と低分化型腺癌(por)に分けられるが,同じ病変内に混在して認められることも多い.また,症例によっては分化型腺癌と未分化型腺癌が混在した混合型と呼ばれる胃癌も存在し,胃癌取扱い規約では優勢を占める組織型が病理組織診断として記載される.本号では混合型胃癌は除いて“純粋な”未分化型早期胃癌に対する内視鏡治療の適応拡大の可能性と問題点についてエキスパートの方々に執筆いただいた.
従来,内視鏡治療は分化型早期胃癌を対象に行われ,未分化型早期胃癌は内視鏡治療の適応外とされてきた.その理由として,①粘膜内癌であってもリンパ節転移例が存在する,②腺頸部に沿った上皮下での側方進展や非連続的な広がりを示す症例があり,術前に正確な病変範囲診断を行うことが困難,が挙げられる.一方①Gotodaら3)の早期胃癌の臨床病理学的検討より,未分化型腺癌のうち2cm以下のUL(-)粘膜癌であればリンパ節転移が極めて少ないことが判明したこと,②内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic mucosal dissection ; ESD)の普及によって,従来の内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection ; EMR)とは異なり,十分なsafety marginを確保しながら一括切除することが可能になったことより,近年,未分化型早期胃癌に対する内視鏡治療の適応拡大が本格的に議論されるようになった.
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