Japanese
English
今月の主題 早期胃癌発育の新たな分析─内視鏡経過例の遡及的検討から
序説
胃癌の発育・進展―時間との戦い
Introduction
松井 敏幸
1
Toshiyuki Matsui
1
1福岡大学筑紫病院消化器科
キーワード:
早期胃癌
,
発育
,
遡及例
,
内視鏡画像
,
時間経過
Keyword:
早期胃癌
,
発育
,
遡及例
,
内視鏡画像
,
時間経過
pp.1719-1721
発行日 2008年11月25日
Published Date 2008/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403101509
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胃癌の発育・進展と自然史には解決されなければならない問題が多い.例えば,スキルスはどのような癌から進展するのか? その潜伏期はどれくらいか? スキルス胃癌では,おそらくは通常の内視鏡経過例の遡及的検討では発見され難い病変が主役であろう.また,組織学的な癌発生と進展,遺伝子異常,epigeneticな異常,など精緻な科学的手法による分析がいまだ継続されている.「胃と腸」誌が取り上げる胃癌の発育・進展と自然史の問題は,内視鏡で発見される病変あるいは発見困難な要因など臨床的な側面であり,これまでもしばしば取り上げられてきた.最近では,27巻1号「胃癌の自然史を追う─経過追跡症例から」(1992年)で本号と同じ主旨に基づき有用な原著が著された.その号以前にも,非常に多くの先駆者の業績があるにもかかわらず,“早期癌はどのくらいで進行癌となるのか?"との質問(clinical question ; CQ)には容易に答えられない.ガイドライン的な発想のCQに正しく答えられないようではいけない.特に海外の研究者に向けては答えられない状態である.胃癌の発育進展に関する議論は,本誌27巻1号以来本格的には行われていない.
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