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2005年6月の早期胃癌研究会は6月15日(水)に一ツ橋ホールで開催された.司会は田中信治(広島大学病院光学医療診療部)と小野裕之(静岡県立静岡がんセンター内視鏡部)が担当した.mini lectureは「消化管X線検査におけるFPD及びCアーム式寝台装置の活用法」と題して杉野吉則(慶應義塾大学医学部放射線診断科)が行った.
〔第1例〕 58歳,女性.低分化腺癌を伴いsm3に浸潤した盲腸のLST(症例提供:札幌厚生病院胃腸科 黒川聖).
読影は小林(松山赤十字病院胃腸センター)が担当し,X線像(Fig. 1)では,盲腸・回盲弁対側に径30mmの表面顆粒結節状の扁平隆起病変を認め,辺縁の性状から上皮性腫瘍と診断した.表面に浅い陥凹を認め(IIa+IIc型),側面変形を認めることからsm深部以深浸潤癌と診断した.通常および色素内視鏡像では,扁平隆起(IIa型)で表面模様も比較的保たれており,X線所見とは異なりmあるいはsm軽度浸潤癌であろうと述べた.拡大観察所見では,一部に無構造な部分を認めVN型pit patternと診断した.拡大観察とX線所見を合わせるとやはりsm深部浸潤癌と考えたいとした.拡大観察所見に関して,山野(秋田赤十字病院胃腸センター)は,小林が無構造とした部位について,粘液が付着して条件不良であるが,不整な小pitが不均一に存在しsm1程度のsm浸潤と診断した.工藤(昭和大学横浜市北部病院消化器センター)は,小林が無構造とした部位について,不整なIIIsでscratch signを伴い,sm多量浸潤癌とコメントした.平田(大阪医科大学第2内科)は,pitのつぶれと読影,sm癌が露出しているとした.
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