増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
血液生化学検査
ビタミンおよび生体色素関連物質
ビタミンE
遠藤 了一
1
,
安部 正雄
2
,
上野 幸久
3
1三宿病院研究検査課
2三宿病院産婦人科
3健康保険総合川崎中央病院内科
pp.240-241
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909818
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検査の目的・意義
赤血球膜,血小板,ミトコンドリアをはじめ,各種の生体細胞構築には,多価不飽和脂肪酸(PUFA)がリン脂質などの存在様式で組み込まれその主要な部分を構成している.一方,生体は多彩な代謝系において,酸素をより反応性に富む活性酸素として利用している.ミクロゾーム電子伝達系(NADPH-cyt-P 450)1酸素添加反応はその代表的な例である.生体内には各種の活性酸素(表1)が誘発され,周辺の細胞構築に関与するPUFAは常に酸化の場にさらされている.ビタミンEは抗酸化的に働き,過酸化脂質の生成を抑制し,細胞の安定化と機能維持に関与している1).脂溶性ビタミンであるため,胆汁うっ滞など肝・胆道疾患,栄養不良,脂肪吸収障害などで血中ビタミンEの低下がみられ,溶血傾向,運動失調など神経症状を伴う場合もある.
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