増刊号 CT・MRIアトラス—正常解剖と読影のポイント
腹部
各論
男性生殖器
北村 ゆり
1
,
楫 靖
1
,
杉村 和朗
1
1神戸大学医学部放射線科
pp.334-338
発行日 2001年10月30日
Published Date 2001/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908409
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はじめに
男性生殖器のなかでも,特に前立腺はその生理的働きや診療のうえからもいまだに解明しきれていない臓器である.今まで前立腺疾患の診断には主に直腸診がなされてきたが,最近は超音波検査や経直腸生検が主流になりつつある.また,補助的診断として,PSA(prostatic specific antigen;前立腺腫瘍マーカーの一つ)の測定も重要である.PSAは前立腺円柱上皮で生成され,腺腔内に分泌されるが,通常は基底膜を通らない.前立腺内に癌や炎症などが生じると基底膜が損傷され,PSAは間質内に漏出し,血中にて上昇する.このため,前立腺癌や前立腺肥大症,前立腺炎などの疾患において血中のPSAは高くなる.特に前立腺肥大症は年齢とともに罹患率が上昇することより,血中PSAも加齢により上昇するとされる.PSAは前立腺疾患の診断と治療方針決定に重要な役割を果たしている.またその一方で,最近はMRIの診断性能の向上により,前立腺内部構造の評価や疾患の局在,広がりなどの情報を得る点で,MRIもまた大きな役割を担うようになってきた.
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