特集 生検の進歩
I 臓器別生検
i 組織診
15 男性生殖器
藍沢 茂雄
1
,
古里 征国
1
Shigeo AIZAWA
1
,
Masakuni FURUSATO
1
1東京慈恵会医科大学病理学教室
pp.1257-1262
発行日 1987年10月30日
Published Date 1987/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913467
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A.睾丸
生検の目的
睾丸には二つの大きな役割,すなわち精子の形成と男性ホルモン分泌作用がある.精液検査および血清中各種ホルモンの定量などで確認のできない例では,睾丸の部分生検はそれらの状態を検査するよい方法である.男子不妊症患者の造精能力の判定,および男子性腺機能不全症に対し病因の診断,治療方針の決定,予後判定などを目的に行う1).左右差がなければ通常,片側で行うが,もし差があれば両側生検が原則である.停留睾丸では精細管内悪性胚細胞(intratubular malignant germ cells)に注意するが,一側に見られたときは対側の生検も行うほうがよい.腫瘍の疑われるときは部分生検は行わない.通常,除睾術そのものが生検として扱われて差し支えない2).かりに鞘膜を切離した段階で腫瘤が見つからないときに白膜を破り,実質を直視するか凍結切片による迅速診断を行うことは腫瘍散布の危険があり,やらないほうがよい.病期診断に鎖骨上リンパ節の生検を行うことがある2).
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