“One More Step”
収縮状態が末期になったら…
茅野 千春
1
1県立木曽病院
pp.139
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907716
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エコー検査はある程度主観が入ってしまう検査です.心エコー検査での左室駆出率(EF)の値はMモードを記録して計測する都度,多少違った値が出てきます.Bモード法で見た印象では全く問題のない左室の壁運動なのにEFが0.5以下の値になってしまい,Bモード法の壁運動に合う値が出るように計測し直したりとか,また逆のこともあります.左心不全で入院した治療前後や慢性心不全でアンジオテンシン変換酵素阻害薬を1年間服用した後など,Bモード法上明らかに左室の収縮状態が改善している場合は,EFを出すときに以前の値を参考にしながら何回か計測していい値を選択するようなこともします.検査に主観が入り過ぎていてけしからんとお叱りを受けるかもしれませんが,私はある程度しかたないし,意味ある数字の比較だと考えています.
困るのが虚血性心疾患にしろ心筋症にしろ左室の収縮状態が末期に近くなってしまった場合の評価です.慢性心不全が代償できなくなって肺うっ血を呈して入院したときと,入院後自覚症状が改善して胸部X線写真でうっ血が消失したときとで,Bモード法上,エコー所見にほとんど変化を見いだせないことがままあります.
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