図解・病態のメカニズム 胃疾患・8
NSAID起因性胃病変
荒川 哲男
1
,
樋口 和秀
1
,
藤原 靖弘
1
1大阪市立大学医学部内科学第3・生体情報解析学
pp.1035-1039
発行日 2000年6月10日
Published Date 2000/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907520
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非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)が胃粘膜傷害を高頻度に惹起することは,臨床的にも実験的にも証明されている.NSAID長期服用者における胃潰瘍有病率は15〜20%とされており,NSAID非服用者のそれに比し7〜9倍高い1).一方,十二指腸潰瘍はといえば,NSAID長期服用者で有病率が2%程度であるから,胃潰瘍よりはリスクが低い.NSAIDによる粘膜傷害が酸依存性であり,また酸性下に吸収されることが十二指腸潰瘍より胃潰瘍のリスクを高めている理由かもしれない.NSAIDは,胃粘膜防御機構の円滑な営みを中心的に支えるプロスタグランディン(PG)の産生を阻害するため,これがメインの機序であると考えられている.ここでは,その機序をさらに詳細に考えるとともにその対策を論じてみたい.
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