増刊号 Common Drugs 350の投与戦略
消化器疾患治療薬
炎症性腸疾患治療薬
サラゾピリン(ミドリ十字)
野元 健行
1
,
牧山 和也
1
1長崎大学医学部第2内科
pp.138-139
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905490
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臨床薬理
●作用機序1):サラゾスルファピリン(以下,SASP)は,スルファピリジン(以下,SP)と5—アミノサリチル酸(以下,5—ASA)のアゾ化合物である.経口投与法で約1/3は上部小腸から吸収され,残りは大腸内で腸内細菌によってSPと5—ASAに,分子量比で0.63:0.38の割合で分解される.SPは容易に吸収され,ほとんど肝臓でアセチル化(以下,Ac-SP)と水酸化,さらにグルクロン酸抱合を受けて尿中に排泄される.一方,5—ASAの大部分は便中に排泄されるが,約1/3は吸収されアセチル化を経て尿中に排泄される.SASPの有効成分は,潰瘍性大腸炎に対するSASP,SP,5—ASAの単独注腸法による比較試験の成績から5—ASAと考えられている.作用機序はまだ不明の点が多いが,①アラキドン酸代謝系の主にリポオキシゲナーゼ系代謝産物であるLTB4などの産生抑制,②活性酸素・フリーラジカルの産生抑制と消去,③サイトカイン(IL−1,IL−6,IL−8,TNF—αなど)の産生抑制,などが主な作用起点と考えられる2).
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