iatrosの壺
ACE阻害薬投与後高カリウム血症を生じた心不全の一例/可能なこと,不可能なこと
小野 直見
1
,
中山 貴裕
2
1小野循環器科内科
2つるい養生邑病院神経内科
pp.74
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905439
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心不全例で,薬剤投与により潜在する腎機能不全が顕在化し,驚かされた例を紹介する.
虚血性心筋症の78歳男性が肺水腫で入院した.外来での心電図は完全左脚ブロック,心エコーで前壁中隔,下壁の壁運動は高度低下,後壁の動きも低下し,左室駆出率は30%だった.外来では硝酸イソソルビド,アスピリン,フロセミドを投与していた.入院時は心電図,心エコーとも変化ないが,心筋逸脱酵素が軽度上昇し,白血球も増加した.部位は不詳だが,小さな心筋梗塞から心不全を呈したと考えた.外来の薬にフロセミド静注を加え,肺水腫はコントロールできた.収縮期血圧は90mmHgで,尿量は約1,000 ml/dayだった.BUNは50 mg/dl,クレアチニンは1.8mg/dl,Kは4.5mEq/lだった.フロセミド静注は中止し,経口でマレイン酸エナラプリル2.5mgを追加した.3日後,尿量・クレアチニンとも変化なかったが,Kは6.8mEq/mlとなった.エナラプリル投与中止2〜3日後にKは正常に復した.
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