今月の主題 肝疾患Q&A
肝疾患の疫学と機序
自己免疫性肝炎の発症機序—何が解明され,何が未解決か
森實 敏夫
1
,
常松 令
1
1神奈川歯科大学内科
pp.441-443
発行日 1996年3月10日
Published Date 1996/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904986
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ポイント
●日本人の自己免疫性肝炎ではHLA DR 4, DR 2のいずれかが陽性であり,特に,β鎖の13番目のアミノ酸がいずれも塩基性アミノ酸で,DR 4ではヒスチジン,DR 2ではアルギニンである.これが,肝細胞特異的な膜抗原由来ペプチドの提示に関係している可能性が高い.
●肝細胞膜上に表現されるHLA class Iと肝特異的ペプチドの結合した複合体に対する細胞障害性T細胞の存在はいまだ証明されていない.
●今後,肝細胞破壊を引き起こす抗体の標的抗原と細胞障害性T細胞の認識する標的抗原のペプチド配列(モチーフ)とHLAの組み合わせが明らかにされ,それら免疫応答の起きる機序について研究が進められるであろう.
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