増刊号 内科医のMRIとのつきあいかた
MRIで何がわかるか
腹部
肝・胆・脾
女屋 博昭
1
,
板井 悠二
2
1筑波大学附属病院放射線科
2筑波大学臨床医学系放射線医学
pp.225-235
発行日 1997年10月30日
Published Date 1997/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904775
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
MRIの適応に関して
1.適応
肝MRI診断の適応として,多くのびまん性あるいは腫瘤性疾患が対象となる.びまん性疾患,鉄沈着症は最も良い適応で,ヘモクロマトーシスや肝硬変にみられる鉄沈着性再生結節などの診断を容易にする.また,血流障害をきたした肝実質性変化,区域性の胆汁うっ滞などの検出にも鋭敏である.腫瘤性疾患に関しては,海綿状血管腫の検出と確定診断,肝細胞癌の血流性の評価や内部構造の描出,転移性腫瘍の検出などに優れている.また,血管筋脂肪腫などの脂肪成分に富む病変の検出と診断に役立つ.
胆道系疾患は,描出すべき管腔構造の径が小さいため,従来のMRI装置では適応の対象となることは少なかった.しかし,MRCP(MR cholangiopancreatography:343ページ参照)の臨床導入により,胆道系の鮮明な画像が非侵襲的に得られるようになり,より一層この領域へのMRIの応用範囲が拡大されつつある.体軸方向の病巣進展に関して,冠状断・矢状断での撮像が威力を発揮する.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.