増刊号 内科医のMRIとのつきあいかた
イントロダクション
MRI造影剤の特性
河村 泰孝
1
1福井医科大学放射線科
pp.31-41
発行日 1997年10月30日
Published Date 1997/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904757
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
最近のMR技術の進歩,装置の普及に伴い,造影MRI検査の重要性はますます高まっています.非特異的細胞外分布を示す各種のガドリニウム製剤が認可されており,さらに数種類のMRI造影剤が現在臨床試験中です.また臓器特異性造影剤として,つい最近,肝網内系特異性MRI造影剤(超常磁性酸化鉄粒子)が承認され,ほかにも肝臓やリンパ節などをターゲットにした数種類の特異性MRI造影剤が,一般臨床試験中または承認待ちの状態です.MR膵胆管撮影(MRCP)や一般腹部MRIの際に用いられるMRI用経口造影剤も使用可能です.当初,MRIには造影剤は必要ないとする意見もあったことを考えると,たいへん興味深い動向です.ただし,Lauterbar1)がそれまで波形解析として用いられていたMR信号を,初めて断層画像化して1973年に発表したずっと以前から,ガドリニウムなどの常磁性体がMR信号に強い影響を及ぼすことがBloenbergenやSolomonらにより検討されており2,3),ある意味では当然の成りゆきかという気もします.
このようにMRI装置が広く普及し,造影剤も簡単に手に入ることから,もはや造影MRIは患者さんにとって特殊な検査ではなくなってきています.言い換えれば,一人の患者さんが場合によっては何回も造影MRI検査を受ける可能性があるわけで,MRI造影剤についての安全性や適応などについて,臨床医もある程度の知識を要求されることになります.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.