日常診療に必要なHIV感染の知識・2
抗HIV療法の実際—最近の進歩
岡 慎一
1
1国立国際医療センターエイズ治療研究開発センター
pp.979-981
発行日 1997年5月10日
Published Date 1997/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904525
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HIV感染症は,感染から免疫力の低下した状態のAIDS発病まで平均10年から13年といわれている慢性のウイルス疾患である.しかし実は,この病気は非常に個人差が激しく,感染から1〜2年でエイズになってしまう患者(約5%)から,感染後15年以上を経過してもいまだ全く免疫能の正常な患者(約5%)までさまざまである.この差を規定する因子として,ウイルス側およびホスト側のいくつかのファクターが考えられるが,この2〜3年の間にHIV感染症の病態に関する非常に重要な知見が明らかにされてきた.このような長い経過をとる疾患の治療には,病態の理解に基づいた治療が重要である.したがって本稿においては,はじめにHIV感染症の病態について述べ,次に新たに認可されつつあるプロテアーゼ阻害剤を含む併用療法の実際について述べる.
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