今月の主題 見えてきた腎疾患
進行性腎障害の病態解明と治療の進歩
急速進行性糸球体腎炎
伊地知 秀明
1
,
花井 順一
2
1亀田総合病院内科
2東京大学医学部第1内科
pp.1950-1955
発行日 1995年10月10日
Published Date 1995/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402903876
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ポイント
●急速進行性糸球体腎炎(RPGN)は急速に腎機能が低下し,腎死に至る予後不良の症候群であり,早期診断と早期治療開始が望まれる.
●RPGNは著明な半月体形成を特徴とする半月体形成性糸球体腎炎(CrGN)と同義語として扱われることが多い.
●CrGNは免疫組織学的に抗糸球体基底膜(GBM)抗体型,免疫複合体(IC)型,pauci-immune型の3型に分類される.pauci-immune型は抗好中球細胞質抗体(ANCA)との関連が強く,日本では3型の中で最も多い.
●ANCAにはc-ANCAとp-ANCAがあり,前者はPR 3-ANCAに等しい.後者において臨床的に重要なのはMPO-ANCAである.MPO-ANCAは腎炎との関連が強い.
●PR 3-ANCAはWegener肉芽腫症,MPO-ANCAは特発性CrGN,顕微鏡的結節性多発動脈炎(microscopic PN:MPN)の早期診断および疾患活動性の判定に有用である.
●半月体形成はGBMの断裂から始まり,ボーマン嚢腔内へのフィブリンの析出や炎症細胞,サイトカイン,マクロファージが関与する.
●ANCA陽性例はsystemicな血管炎の一部と考えられ,この発症機序としてANCA-cytokine sequence theoryが提唱されている.
●RPGNの治療は早期からステロイドパルス療法,血漿交換などの積極的治療を併用する.
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