今月の主題 高齢者医療の新しい視点
Editorial
老化に関する基礎的研究はどこまで進んでいるか
佐藤 昭夫
1
1東京都老人総合研究所自律神経部門
pp.1269-1273
発行日 1995年7月10日
Published Date 1995/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402903727
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ポイント
●一般的な知能は加齢の影響をあまり受けないが,前頭葉機能は加齢により低下しやすい.
●記憶は,数字の順唱能力はあまり低下しないが,逆唱能力は加齢とともに低下する.
●大脳皮質のアセチルコリンとその受容体は加齢により低下する.
●大脳皮質血流は前脳基底部コリン作動性神経によって調節される.
●脳内の神経成長因子の受容体は加齢に伴って減少する.
●血圧は加齢とともに上昇する傾向があり,交感神経系の活動亢進や圧受容器反射の低下が原因と考えられている.
●カテコールアミン分泌は加齢とともに増加する.
●細胞の分裂寿命はテロメアにより規定される.
●老化を発現する遺伝子や寿命を変える遺伝子が存在する.
●老化にアポトーシス機構が関連する.
●活性酸素とその消去系の活性が寿命に関連する.
●ミトコンドリアDNAの傷害が老化と関連する.
●細胞外基質や接着分子が老化に関連するらしい.
●アルツハイマー原線維と一般の老化でも起こる老人斑の間に,アポリポ蛋白Eなどの共通の存在がある.
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