図解 病態のしくみ—遺伝子・サイトカインからみた血液疾患・9
血小板膜蛋白異常
村田 満
1
1慶應義塾大学医学部内科
pp.2011-2015
発行日 1994年9月10日
Published Date 1994/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402902974
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●はじめに 血小板の主たる役割は言うまでもなく止血血栓の形成であるが,血液凝固促進作用や血管壁のintegrityの維持にも関与しており,その機能は多岐にわたる.血小板減少がなく,一次止血が障害されている病態を血小板機能異常症と呼ぶ.これには,①血小板膜異常,②血小板顆粒異常(storage pool disease),③トロンボキサン合成異常,などが含まれる.血小板膜異常としては血小板受容体(主に糖蛋白)の異常や血小板凝固活性の欠損(Scott syndrome)などが知られている.膜糖蛋白異常には先天性の異常症と,主に骨髄異形成症候群や骨髄増殖性疾患などの際に生じる異常がある.
血小板膜糖蛋白(glycoprotein:GP)は,現在までに性質がよくわかっているものだけでも10種類以上にのぼる.機能がはっきりしないものもあるが,多くは血小板膜上で種々の血漿因子や血小板活性化刺激物質の受容体蛋白として,また細胞—細胞間や細胞—内皮下組織間の接着に関与する分子として,血小板機能ひいては血栓形成を調節しており,止血のみならず病的血栓や動脈硬化の発症にも大変重要である1)(表1).
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