今月の主題 内科医のためのCT・MRI
MRI—頸部・脊髄
頸部のMRI診断
三枝 裕和
1
,
井田 正博
1
,
水沼 仁孝
1
,
有泉 光子
2
,
山岸 二郎
2
,
多田 信平
2
1大田原赤十字病院・放射線科
2東京慈恵会医科大学・放射線医学教室
pp.1064-1068
発行日 1992年6月10日
Published Date 1992/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901551
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頭頸部領域におけるコンピュータ断層撮影法(CT,MR)の意義は,耳鼻咽喉科学的に直視しえない深部組織を無侵襲に観察(病変の進展範囲を診断)しえることである.特にMRはCTに比較して軟部組織のコントラストに優れ(正常部と病変部の識別に優れ),非検者を横臥位のままあらゆる裁断面を撮像できることから,頭頸部領域の有力な診断法となった.
反面,MRでは骨皮質や石灰化は無信号になるため(水分含量が低いため),微細な骨組織の変化(癌浸潤による骨皮質破壊や硬化)や病変内の石灰化の検出はCTのほうが優れている.歯料治療に用いた磁性物質はMRのアーチファクトの原因となる.さらにMRでは撮像に時間を要し,呼吸停止下の撮像ができないため,呼吸や嚥下による変動が大きい部位では微細構築の観察が難しいが,将来的には超高速撮影法の発展とともに解決されるであろう.
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