グラフ 内科医のための胸部X-P読影のポイント・1【新連載】
胸部X-P読影の基本
泉 孝英
1
1京都大学胸部疾患研究所・第2内科
pp.725-730
発行日 1991年4月10日
Published Date 1991/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900846
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胸部X-Pの正確な読影は,呼吸器疾患の診断にとってきわめて大切なことである.しかし,いうまでもないことであるが,X-P所見だけで診断がつくわけではない.呼吸器疾患の最終診断は,臨床所見に加えて,微生物学的検査所見,免疫血清学的所見,細胞診を含む病理学的所見によるものであり,胸部X-P所見を含め,いわゆる画像所見は直接の診断根拠になるものではない.
他の臓器と同様,呼吸器疾患の診断において,第1に重要な所見は臨床所見である.愁訴,理学的所見からどのような疾患の可能性が高いかをまず考えなければならない.そして,確定診断へと検索を進めるにあたって胸部X-P所見は,病変部位・病変の性状解明への大きな方向づけを与えるものである.また,過去における正確な診断の与えられた症例のX-P所見についての集約された成績がある場合には,微生物学的検査所見,免疫血清学的所見,あるいは病理学的所見による診断を支持する補強的所見となる.しかし,胸部X-Pが,どのように非定型的所見であっても,微生物学的検査所見,免疫血清学的所見,あるいは病理学的所見を基礎として確定された病名を否定する根拠にはならない.
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