特集 〈研究室で役に立つ細胞株〉
Ⅲ.間葉系細胞株
骨髄細胞
骨髄腫細胞
マウス骨髄腫:P3-X63-Ag 8.653
堀内 龍也
1
1群馬大学内分泌研究所薬学研究部
pp.469-470
発行日 1992年10月15日
Published Date 1992/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900457
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■樹立の経緯
NIHのR. Merwiは,1959年C3Hマウスの乳腺組織をMillipore Diffusion Chamber内へ入れdicthylstilbestrolペレットとともに47匹のBALB/cマウス皮下に埋め込んだところ,7匹に多様な顆粒球腫細胞塊を含んだ腹水が生じた。この顆粒球腫のうち,BALB/cマウス腹腔内に移植可能になったものが単クローン抗体産生に頻繁に用いられているミエローマの起源である1)。当時は抗体産生が研究の主目的であったので,腹水内で旺盛に増殖し,グロブリンを産生する株が重点的に分離された。そのなかのγG1を産生するMOPC-21株からSalk InstituteのHoribataらによってシャーレ中で継代培養可能なP3K株が単離された。この細胞の特徴は8-アザグアニン耐性でhypoxanthine-guanine-phosphoribosyltransferaseを持っていないことである。1975年にkohlerとMilsteinにより永続的に培養可能なミエローマと脾臓の抗体産生B細胞とのハイブリドーマによる単クローン抗体作成の手法が導入され,抗体の作成,精製に適したミエローマのクローニングが行われた。得られた細胞の大部分は8-アザグアニン耐性のP3K細胞が親株であるが,そのなかからγ1,κ鎖を分泌するP3-X63-Ag8株が分離された。
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