特集 この1冊でもう安心!—内科医が押さえておきたい「しびれ・ふるえ・めまい」の診かた
Column
くずかごの中の地雷
岩崎 靖
1
1愛知医科大学加齢医科学研究所
pp.1096
発行日 2024年6月10日
Published Date 2024/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402229634
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めまいの原因の多くは良性疾患であり,経過観察や対症療法で次第に改善するが,頻度は低いが見逃してはならない疾患が隠れている点に留意しなければならない.症状の程度と原因疾患の重症度は相関しないことが多く,末梢性めまいのほうが,脳血管障害などの生命に危険がある中枢性めまいより重篤感があることも多い.一方で,全身倦怠感や頭重感などの不定愁訴とともにめまいを訴えることや,更年期障害に伴ってめまいを訴えることも多いため,「めまいは放っておいてもいずれ治る」と言われたり,「めまいは病気のくずかご」とも言われたりする.しかしながら,めまいには「くずかごの中の地雷」と考えられる,見落とすと死に至る疾患がある.複視や構音障害,失調など脳幹・小脳症状を伴っていれば見落とすことはないであろうが,時に明らかな神経症候を伴わないで脳幹や小脳に病変を生じている症例がある.筆者の経験上,「突然に発症して頭痛を伴うめまい」は神経診療のなかで最も怖いことを強調しておきたい(脳幹梗塞,小脳出血,くも膜下出血が隠れている!).
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