連載 ERの片隅で・12【最終回】
ありがとうを繰り返す救急医
関根 一朗
1
1湘南鎌倉総合病院【湘南ER】
pp.572-573
発行日 2024年3月10日
Published Date 2024/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402229483
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「搬送、お疲れさまです。雨降り出したんですね。」日曜日の午後10時、救急搬送でERに入ってきた救急隊員の服が濡れているのを見て、救急医関根が救急隊員に話しかけている。「急に降り始めました。風も強くて、今夜は冷えますね。」搬送を終えた救急隊員は雨に濡れた帽子に手を当てながら答える。
walk-in受診した症例を診ていた研修医が、関根のところに相談に来た。「3歳男児、急性上気道炎の疑いです。昨日から鼻汁と咳嗽があり、本日発熱したため受診されました。診察では異常所見はありませんでした。緊急性はなさそうなので、平日に小児科を受診するように指示しようと思います。」関根が答えた。「なるほど。確かに症状の経過からは緊急性はなさそうだね。一緒に診察してみようか。」
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