連載 思い出すけっち[あの人、あの時、あの言葉]・2
思いがけなかった「ありがとう」
斉藤 みよ子
1
1東京女子医科大学病院消化器外科病棟
pp.126-127
発行日 1989年2月1日
Published Date 1989/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661923168
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山本さん(仮名)は64歳.いたって健康で,中小企業の管理職として自ら率先して仕事をこなしてきた方でした.食事がうまく嚥下できないという理由で入院し,食道疾患で手術をすることになりました.
病院での山本さんは自分の思いを表現しようとせず,奥さんがよく代弁していました.奥さんの千代さん(仮名)は,周りから指示されることを嫌って自由にしたいことをする夫を信頼して,温かく見守ってきたようでした.病んで無口になってしまった夫を見て「本当にしようがないですね」と周囲を気遣いながらも,何とかかばおうとしているようでした.
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