増大号特集 患者さんの質問にどう答えますか?—言葉の意味を読み解きハートに響く返答集
診療編
〈診察・検査〉
Question 23 聴診器では何の音を聴いているのですか?
北村 大
1
1堺市立総合医療センター救急・総合診療科
キーワード:
検査への期待
,
聴診への心理的な抵抗
Keyword:
検査への期待
,
聴診への心理的な抵抗
pp.1826-1827
発行日 2023年10月10日
Published Date 2023/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402229188
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ひとまず返答
聴診器は,医師や看護師が患者の体内の音を聴くために使っています.主に使用するのは,心臓や肺,腸などの臓器の音を聴くときです.例えば,心臓であれば鼓動の音のリズムや雑音を聞いて病気がないか判断します.リズムは一定か,速さは適当か,心音のタイミングや強さ,聴かれる部位は適当か,過剰な心音はないか,心臓の弁の異常や血流に関連した心雑音などを聴取することで,不整脈や弁膜症,心拡大,心臓も関連した全身の病気を見つけることができます.肺であれば気道や気管支,肺から呼吸をするときに聴こえる音で,肺や気管支の病気がないかを判断します.肺炎や気管支炎,気管支喘息といった病気だけでなく,肺に水の溜まった肺水腫や,肺に穴が空いた気胸などを見つけることができます.腸の音は腸の動きやガスの移動に関する音が聴こえて,腸の病気がないかを判断します.腸が詰まってしまう腸閉塞がみつかることがあります.
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