書評
—上田 剛士 監修 吉川 聡司 執筆—ジェネラリストと学ぶ 総合画像診断—臨床に生かす!画像の読み方・考え方
清田 雅智
1
1飯塚病院総合診療科
pp.711
発行日 2023年4月10日
Published Date 2023/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402228916
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画像診断は,現代の医療にとってますます重要な位置にいることは論をまたないであろう.ラエネックに象徴される19世紀の医師は,身体診察をていねいにとり,死後の解剖所見との対比により疾病をどのように生前に診断するかということを極めようとしていた.20世紀に入ると,臨床検査部の整備とともに生体の物質の変化を化学的に検証することで診断をより正確にしようとした.そして1980年代から診療現場に登場するCTやMRIは,身体診察や臨床検査では捉えられなかった,体の深部に起こる解剖学的変化を捉えるという画期的な技術により生前に病気を可視化した.どれも診断に欠かせない要素であろう.
一方,画像診断はこれほど臨床現場で重要とされている割に,どれほどの医師が専門的な読影トレーニングをしているのだろうか.医学部の授業ではカバーできるはずのない画像診断の深い世界は,現場では放射線科医の読影レポートと対比することでしかフィードバックされないはずだ.しかも多くの研修医はレポートだけで,オリジナルの画像を読まないのではないか.私は2年次から3年次にかけて9カ月間の放射線科ローテーションを志願し,20年以上も自分でオリジナルの画像を自身で仮診断し,放射線科医のレポートと対比しながら自分の読影スキルを磨いてきた.これがいかに病態の理解に役立ったかということは身に染みて感じており,すべての研修医が放射線科を研修すべきではないかという自説さえもっているが,昨今の研修の選択の自由度のなさからは無理な話である.
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