特集 ちょっと待って,その痛み大丈夫?—“見逃してはいけない痛み”への安全なアプローチ
扉
志賀 隆
1,2
1国際医療福祉大学救急医学
2国際医療福祉大学成田病院救急科
pp.1606-1607
発行日 2022年9月10日
Published Date 2022/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402228463
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50代男性が前胸部痛にて搬送された.搬送の1時間前に初発の痙攣があった.隣の布団で寝ていた妻が痙攣に気がついて様子を見ていたところ,5分程度で止まった.その後,前胸部の痛みが始まった.搬送時に循環器内科医が診察ならびに心電図・心エコー図検査を行い,「冠動脈疾患ではない」との判断となった.その後,外科当直の整形外科医が,「胸部の単純CTを読影したが,胸骨の骨折はない」との判断をした.朝になり救急医が診察したところ,「呼吸性に変化する胸痛+D-ダイマーの上昇」と診断され,肺塞栓症を除外することになった.
このように痛みの診療は奥深く,多くの医師を悩ませる.一般外来,時間外外来に「緊急性の強い痛み」「診断の難しい痛み」「コントロールが難しい痛み」などをもった患者が訪れることがある.もちろん,致死性疾患の鑑別診断がまずどのような患者にも必要である.また,「体性痛なのか?」「内臓痛なのか?」という視点も常に必要になる.
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