連載 フレーズにピンときたら,このパターン! 鑑別診断に使えるカード・2
「肝機能低下のない高アンモニア血症」「重症感を伴う急性下痢」「食思不振を伴わない体重減少」
長野 広之
1
1洛和会丸太町病院 救急総合診療科
pp.371-378
発行日 2020年2月10日
Published Date 2020/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402226731
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総論
摂取した蛋白は大腸で腸内細菌や酵素により分解され,アンモニアが産生される.アンモニアは門脈から肝臓に入り,尿素サイクルを通じて尿素に置換される1).
よって肝機能が低下する(肝硬変や急性肝不全)と,アンモニアが代謝されず体循環に入ることにより高アンモニア血症が起こり意識障害やasterixisが起こる.asterixisは日本語で羽ばたき振戦(flapping tremor)だが,正確には振戦ではない.振戦とは律動的な細かい不随意運動だが,asterixisは四肢を一定の姿勢に保つために収縮する状態の筋肉が緊張を保つことができず生じる不随意運動(negative myoclonus)である.意識がある状態では腕を前に伸ばした状態で手を背屈させることで診察できる(図1).
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