特集 トリコになる不整脈—診断と治療のすべて!
頻脈
コラム
AED,WCD,S-ICDなど新たな治療
田中 沙綾香
1,2
,
加藤 律史
1,2
1埼玉医科大学国際医療センター心臓内科
2埼玉医科大学国際医療センター不整脈科
pp.537-539
発行日 2017年3月10日
Published Date 2017/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402224661
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AED(図1)
わが国では年間約8万人の心臓突然死を認めている.多くは心室細動(VF)と心室頻拍(VT)が原因であり,除細動が1分遅れるごとに,救命率は7〜10%低下すると言われている.この「除細動までの時間」を短縮する目的で,2004年7月から一般市民にも自動体外式除細動器(automated external defibrillator:AED)の使用が可能となった.現在の日本国内での稼働台数は不明だが,2014年までのAEDの累積販売数は約63万台であり,設置情報の登録や点検の実施の普及が進められている.消防庁のデータ1)では,平成26年(2014年)に心原性心肺機能停止の時点を目撃された症例は31,169件あり,このうち初期心電図波形がVT/VFの症例は25,685件と,約8割を占めていた.一般市民が目撃した症例は25,255件で,このうち心肺蘇生が実施されたのは13,679件(54.2%).さらに,一般市民によって除細動が施行されたのは1,030件(4.1%)で,この群の1カ月後の生存数は519人で約半数であった.この数字はいずれもAED導入直後と比較し徐々に増加傾向となっている.また,一般市民によって除細動を施行されなかった24,225件の1カ月後の生存数は2,563人と約1割で,除細動を施行された群と大きな差が生じている.
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