特集 主治医として診る高血圧診療
扉
下澤 達雄
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.1695
発行日 2016年10月10日
Published Date 2016/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402224392
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
『高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014)』には高血圧患者の治療において何が必要かがエビデンスに基づいて書かれています.すなわち,初診時にどのような問診,診察,検査を行い,二次性高血圧,白衣性高血圧の診断のために何が必要かが詳細に記載されています.また,リスクの評価方法,リスク・合併症に応じた降圧目標,治療薬の選択についての記載もあります.これらを利用することで,高血圧患者を診る際の最初の数カ月についてはガイドラインに則った診断,治療を行うことができます.
しかし,高血圧の成因は複雑多岐にわたり,患者の病態生理は常に変化します.高血圧患者の診療とは,患者を年余にわたり経過を観察し,心血管イベントを予防することが重要です.しかしながら,どのような経過観察を行い,病態生理を明らかにし,最適な治療を行うべきかについてはガイドラインには記載されておりません.また,どのような身体所見をとるべきか,どのような検査をどのような頻度で行うことが有用か,といった基本的な事項についても十分なエビデンスがあるとは言えません.それゆえ,外来診療の経時的観察について詳細をガイドラインに記載することは難しいのが現状です.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.