特集 内科救急サバイバルブック—院内救急&地域でのマネジメント
扉
濱口 杉大
1
1江別市立病院総合内科
pp.755
発行日 2016年5月10日
Published Date 2016/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402224156
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市中で緊急事態が生じた場合,第一発見者は患者本人,家族,友人,あるいは市民であり,次に救急車でかけつけた救急隊員が対応し医療機関へ搬送後,医師が引き継ぐ.院外発生の救急医療ではこうした連係プレーが重要である.このことを踏まえて,この10年ほどの間にAED(自動体外式除細動器)の設置や一般人向けのBLS(一次心肺蘇生法)の講習会が増加し,救急隊による早期救命処置の範囲も拡大された.また各病院でACLS(二次心肺蘇生法)などの救急蘇生コースが開催され,多くの医師が参加している.さらに全国多数の施設にドクターヘリが配備され,搬送における時間的障壁が一部解決されている.
このように発展してきた日本の救急診療であるが,「院内救急」という分野はまだ十分議論されていない.通常,第一発見者は医療関係者であることが多く,そこに市民や救急隊は存在しない.また,場所が院内であることから,医療介入までの時間が短い.そして何より大切なことは,緊急事態の原因が救急外来での症例とは異なるケースも多く,異なる鑑別疾患,異なるマネジメントを要求される場合があることである.
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