特集 脳卒中はこう診る—新ガイドラインで何が変わったか
扉
西山 和利
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1北里大学医学部神経内科学
pp.197
発行日 2016年2月10日
Published Date 2016/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223930
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脳卒中は日本人の国民病である.頭部画像診断が進歩するまでは,脳卒中は日本人の死因の第1位であり,有効な治療法が乏しい分野であった.さらにはほかの臓器疾患に比して脳卒中を専門とする医師数は少なく,兎にも角にも脳卒中は「治らない疾患」というイメージが強かった.やがて,頭部CTやMRIの登場,血圧管理をはじめとする危険因子管理の向上などに伴い,本邦における脳卒中の死亡率は明らかな低下を示した.しかし,多くの医師や関係者の努力にもかかわらず,脳卒中はいまだ本邦における死因の第4位,寝たきりになる原因の第1位の地位にある.すなわち,脳卒中は一命をとりとめても,後遺症に苦しむ患者が多いことを意味している.
昨今の脳卒中治療の発展には目を見張るものがあり,脳卒中は予防にも治療にも長足の進歩がある.そうした進歩を具に知るには論文にあたるのが王道であるが,脳卒中に関する論文だけでも毎年数万にも及び,それらをすべて把握することは不可能に近い.そこで現代医学においては,治療の道標になるものは科学的証拠に基づいて作成されるガイドラインということになる.脳卒中の治療ガイドラインは2009年に改訂されて以来,今回6年ぶりの全面改訂がなされ,「脳卒中治療ガイドライン2015」が2015年6月に発刊された.
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