特集 糖尿病治療薬Update—適正使用に向けて
扉
長坂 昌一郎
1
1昭和大学藤が丘病院糖尿病・代謝・内分泌内科
pp.7
発行日 2016年1月10日
Published Date 2016/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223882
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2009年のDPP-4阻害薬の発売以来,糖尿病診療は大きな転換期にある.2010年にはメトホルミン製剤の増量が可能となり,またGLP-1受容体作動薬も上梓され,さらに2014年にはSGLT2阻害薬も発売された.多彩な選択肢は大きな魅力であり,糖尿病データマネジメント研究会(http://jddm.jp/)の報告でも,糖尿病患者の血糖コントロールが全般的に改善していることが窺える.一方,経口薬の選択や併用のあり方,GLP-1受容体作動薬やインスリン導入のタイミングなど,実臨床に混乱が生じていることも否めない.
2010年にはHbA1cを取り入れた新しい糖尿病の診断基準が発表され,2013年には患者の個別性を重視した新しい治療目標(HbA1cの目標値)が発表された.また,2010年には持続血糖モニタリングが保険適用となり,HbA1cはあくまでも平均血糖の指標であり,個々の患者の血糖変動を必ずしも反映しないことも明らかになった.さらにここ数年,重症低血糖と心血管合併症との関連,糖尿病自体ないしその治療薬と癌との関連,糖尿病と認知症との関連など,糖尿病合併症を新しい視点から捉えたデータも蓄積されてきた.
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