増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
腫瘍マーカー
非特異マーカー
抗p53抗体
船橋 公彦
1
,
谷島 聡
1
,
島田 英昭
1
1東邦大学外科学講座一般・消化器外科
pp.498-499
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223362
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
検査の概要
固形癌の過半数では,癌抑制遺伝子であるp53遺伝子の異常があり,変異型のp53蛋白を発現している.この変異型p53蛋白に対して,癌患者血清中には抗p53 IgG抗体が出現する.p53抗体検査はこのIgG抗体を検出する検査法である.抗原抗体反応を利用しているため,比較的早期の癌であっても陽性となり,従来の分泌型腫瘍マーカーであるCEAやCA19-9などと比較して診断上の有用性が高い.
従来の腫瘍マーカーと相関関係がないため,両者を併用することで陽性率が高くなる.また,微少残存腫瘍抗原を反映するため,化学療法や手術の前後での変化をモニタリングすることで,治療効果や再発のリスクを評価することができる.手術後に抗体が陰性化しない場合には癌細胞遺残のリスクがある.年齢・性別・炎症などでほとんど影響を受けず,日内変動もない.通常のIgG抗体の半減期は30日前後とされているが,抗p53抗体では,再発のない治癒切除症例においても半減期は2カ月以上のことが多い.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.