増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
腫瘍マーカー
乳腺・婦人科系
CA15-3,BCA225,血清HER2蛋白
多田 寛
1
,
大内 憲明
1
1東北大学大学院医学系研究科腫瘍外科学講座
pp.486-487
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223357
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検査の概要
CA15-3,BCA225,血清HER2(human epidermal growth factor receptor 2)蛋白はいずれも乳癌の腫瘍マーカーであり,再発乳癌の診断補助,進行再発乳癌のモニタリングのために任意で用いられる.多くの施設では,CEA(本号の別項参照)とCA15-3の組み合わせで検査することが多い.
進行乳癌である場合や乳癌が再発をきたした場合に,これらの腫瘍マーカーは上昇することが多く,CTや骨シンチグラフィ,脳MRIなどの画像検査で転移部位を確定させる.これらの画像検査で転移部位が不明である場合はPET-CTが有効であることがある.画像検査に先立ってこれらの腫瘍マーカーが上昇する場合があるが,腫瘍マーカー上昇をもって,無症状の潜伏転移の治療を開始することの意義は証明されていない.また,感度・特異度が十分ではないため,進行再発乳癌治療中に上昇がみられても,画像検査をせずに治療の変更をすることは基本的には勧められず,また早期乳癌のスクリーニングとしては使用するべきではない.
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