増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集
血液検査
32.赤血球形態
松本 昇
1
1山口大学医療技術短期大学部
pp.1704-1705
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222721
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●異常を示す疾患
正常赤血球は両面なかくぼみ円盤形(bicon-cave disc shape)を呈し,その直径は6〜8μmである.塗抹(ギムザまたはライト染色)標本では立体感は失われるが,エオジンに染まったヘモグロビンは円盤の周辺に多く分布し,中央部には乏しいため,中央淡明(central pallor)を形成する.このような形,大きさ,染色性から逸脱したもの,あるいは内部構造の変化(封入体の存在)が形態異常としてとらえられ,診断を確立し病態を把握するうえで,重要な情報源となる.
このような形態異常は,骨髄内での赤血球産生過程(造血亢進,異常造血,ヘモグロビン合成障害)で,あるいは末梢血に出現した後に加わる種々の要因(機械的作用,化学物質,脾臓内微小環境,血漿成分の変化)によって生じる.したがって,形態異常は貧血,溶血などを裏づける検査所見となる.表に形態異常と疾患の関係を示した.
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