技術講座 血液
赤血球形態の判別法
梶浦 容子
1
,
浅井 正樹
1
1名古屋大学医学部附属病院検査部血液室
pp.1271-1277
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100851
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新しい知見
血球形態学は顕微鏡の開発とともに始まり,染色技術の向上により確立された.検査上赤血球形態の判別が必要となる材料は末梢静脈血と尿沈渣である.
末梢静脈血の血液像検査においては自動血球計数機の白血球分類機能の向上により白血球5分類,異常細胞検出メッセージの表示など,目視機能に劣らない性能を有するようになってきた.しかし赤血球形態を判別する能力はまだ低い.多種類の形態異常を異なった病態として関連づけるためには極めて高い形態変化の分解能が求められる.電気抵抗法やフローサイトメトリーによる感度では不十分であり,現段階ではもっぱら顕微鏡下での観察が赤血球形態の判別法の主流である.
また,尿沈渣標本における赤血球形態は出血部位の推定を可能とする重要な検査である.近年自動分析機の開発により,尿中有形成分を定量的に分析することが可能になってきた.フローサイトメトリーによる赤血球の大きさの情報により,尿中赤血球の粒度分布から出血部位の判別に有用な赤血球の形態情報を提供できるようになってきた.
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