今月の主題 糖尿病マネージメントUpdate
糖尿病の診断・検査
IGTとその取り扱い
伊藤 千賀子
1
1広島原爆被爆者健康管理所
pp.916-917
発行日 1989年6月10日
Published Date 1989/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222492
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1980年にWHOから糖尿病の新しい病型分類と75gブドウ糖負荷試験(GTT)の診断基準が発表され,日本糖尿病学会(学会と略す)においても検討を行い,1982年に基準値を公表した.学会ではGTTにより型分類を行い,臨床所見を加味して糖尿病を診断するとした1970年の立場をそのまま踏襲している.これらの判定基準と名称は表に示すごとくである.WHOでは糖尿病の基準を多くの疫学調査に基づいて定め,この基準を満足しないが,耐糖能低下の認められる一群をIGT(Impaired Glucosea Tolerance)と診断している.この一群は糖尿病への移行は年間1~5%であるが,心血管死が多く,動脈硬化進展への危険性が大とされている1)が,特徴や予後についても将来詳細な検討が必要と考えられている.これに対して学会の境界型はGTT受診者中から正常型と糖尿病型を除外したもので,この中には種々の病態の者が含まれている.
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