今月の主題 内科医のための他科疾患プライマリ・ケア
皮膚科
湿疹・皮膚炎
田中 勝
1
1慶応義塾大学医学部・皮膚科
pp.760-761
発行日 1989年5月10日
Published Date 1989/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222436
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●概略
湿疹と皮膚炎は,多少のニュアンスの違いはあるがほほ同義として使われている.その代表的なものは接触皮膚炎であるが,接触原が不明のものを尋常性湿診として一括する.その他,アトピー性皮膚炎,脂漏性湿疹,貨幣状湿疹,主婦手湿疹,皮脂欠乏性湿疹などが日常の臨床で比較的よく見られるものである.
接触皮膚炎は一次性のものとアレルギー性のものに分かれ,後者では48時間後に反応がピークとなるため,患者が原因を思い出せない場合もある.尋常性湿疹は急性湿疹と慢性湿疹に分かれるが,それを決めるのは経過の長さではなく,皮膚の肥厚すなわち苔癬化が見られるかどうかである.アトピー性皮膚炎の85%は小児のうちに軽快するが,15%ほどが成人例に移行する.また,家族歴・既往歴に喘息やアレルギー性鼻炎が見られる.脂漏性湿疹はフケ症の人に多く,ビタミンB2,B6が関係しているといわれている.主婦手湿疹は洗剤により皮脂が失われて刺激を受けやすくなっていることによるものであり,ピアノやタイプにより,同様の症状を呈することもあり,別名を進行性指掌角皮症ともいう.皮脂欠乏性湿疹は老人の下肢に好発し,特に冬に悪化する.
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