シリーズ 難治性疾患への対応
①外耳炎・湿疹
鈴鹿 有子
1
1金沢医科大学感覚機能病態学耳鼻咽喉科
pp.155-158
発行日 2005年2月20日
Published Date 2005/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100082
- 文献概要
Ⅰはじめに
多くの患者は耳の掻痒感や湿潤感,不快を長い間我慢してから,また痛みなどの新しい症状が加わったときに耳鼻咽喉科を受診する。繰り返している場合が多く,自分の病態もある程度わかっているが,いつも根治に至る前に治療の継続を脱落するケースが多い。つまり,これは難治性であると同時に,われわれの治療に時間がかかっているということの裏返しでもある。外耳炎・湿疹は容易に観察できるので診断しやすい疾患であり,治療は局所処置を基本とするが,原因・誘因も多様なので,なぜ難治であるかの説明をしっかりしておくことも大切である。
本稿では,筆者の経験したものの中から難渋した症例を紹介する。
さて湿疹とは,内因,外因により生じた非感染性炎症であり,皮膚の多様性の紅斑,丘疹,水泡などで外耳道がでこぼことした印象があり,外耳道皮膚の炎症である外耳炎とは区別するべきではあるが,外耳道の狭い範囲でのことで,原因や治療法も類似していることから用語の違いははっきりせず,同義の用語として用いられている面がある。
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