今月の主題 新しい不整脈診療
不整脈誘発源となる特殊な背景
arrhythmogenic right ventricular dysplasia(ARVD)
松原 哲
1
1東京医科大学・第2内科
pp.34-36
発行日 1989年1月10日
Published Date 1989/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222268
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右心室を主たる病変の場とするRight Ventricular Dysplasia(RVD)は,右心室筋の脂肪変性や線維化を病理組織学的特徴とし,心不全を主症状とする小児から学童期に多く発見されるいわゆるUhl's anomalyとして知られてきた疾患である.近年Fontaineら1)は,反復して出現する心室頻拍を主症状とする非虚血性心疾患で,RVDと同様に右心室筋の脂肪変性を主たる病理組織学的特徴とする一連の疾患に対して,Arrhythmogenic Right Ventricuiar Dysplasia(ARVD)という名称を提唱している.この名称に対する的確な日本名はまだなく,不整脈原性右室異形成と訳されていることもある.
まだまだ不明な点が多い疾患であるが,原因として病理組織所見さらにヨーロッパでは地域的家族性発生が報告されていることなどから,胎生期からの心筋線維の構造的異常の結果であるとする考え1)と,ウイルス性心筋炎の関与も含めていわゆる心筋症が右心室に生じたものとする意見2)とがある.性別発生状況をみると,RVDが女性に多い3)のに対し,ARVDのほうは2:1の頻度で青年男子に多い1)と報告されている.
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