今月の主題 輸液・栄養療法
電解質輸液の基本的ルール
Mgの投与の考え方と実際
高橋 進
1
1日本大学医学部・第2内科
pp.2782-2784
発行日 1988年12月10日
Published Date 1988/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222227
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マグネシウム(Mg)は細胞内に主として存在する陽イオンであり,体内において多種多様の生物学的に重要な作用をもち,細胞の構造や恒常性,さらに成長と生命維持に不可欠な電解質の一つである.また,細胞外液中のMg++の役割,すなわち,Ca++と協同して骨格筋の興奮一収縮,心筋の張力の調節作用なども見逃せない.このように,Mgの重要性は認識されているにもかかわらず,同じ2価イオンであるCa++やリンに比較するとなじみが薄い.これはMg単独かつ特有の症状,徴候が乏しく,共存する他の電解質異常に覆い隠されてしまうことが多いこと,Mg欠乏症の診断が難しいこと,また,Mg測定の頻度が少ないことなどによると考えられる.
近年,Mgと循環器疾患との関連1)が注目されるようになり,とくに虚血性心疾患,抵抗性不整脈とMg摂取量との関係,Mg欠乏が高血圧を誘発すること,また,利尿薬投与時にMg測定の重要性などが報告されるに至り,Mg測定の重要性が脚光を浴びてきている.
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